ビルレントファージとテンペレートファージ
ファージは、その増殖様式からビルレントファージとテンペレートファージに分類される。
ビルレントファージは、ファージが感染すると細菌内で増殖し、最終的には完全に溶菌させて宿主細菌を死滅させるものである。ファージの多くはこのビルレントファージである。
一方、テンペレートファージの場合、ファージが感染しても一部の細菌を除いて増殖が起こらず、部分的にしか溶菌を起こさない。このとき、ファージの増殖が起こらない細菌の内部では、ファージはプロファージと呼ばれる安定した状態で保存されており、細菌が分裂する際も子孫に伝達されていく。この現象は溶原化と呼ばれ、プロファージを保有する細菌を溶原菌と呼ぶ。プロファージのゲノムは溶原菌のゲノムに組み込まれたり、あるいはプラスミドとして宿主のゲノムとは独立して細胞内に存在する。テンペレートファージの例としては、大腸菌のラムダファージがよく知られ研究されている。
テンペレートファージの中には抗生物質への耐性遺伝子や毒素の遺伝子を持っているものがあり、ファージが感染することによってその遺伝形質を細菌が獲得することがある。この現象によって薬剤耐性や強毒性の細菌が出現することは、医学上重要な問題と考えられている。このような実例としてO157のベロ毒素が挙げられる。ベロ毒素は一部の赤痢菌が産生するシガトキシンと同じものであり、それらの赤痢菌に感染していた毒素遺伝子を含むファージが大腸菌に感染してベロ毒素産生大腸菌が出現したと考えられている。
ファージの応用 [編集]
ファージは、遺伝子数が他の生物に比べて少なく、また増殖させて増やすことが簡単なことから、初期の分子生物学で研究されゲノムが解読され、モデル生物の一つとして用いられている。
頭痛
オーパーツ
社交ダンス
惑星
ラフティング
爬虫類
キャンプ
流鏑馬
犬ぞり
華道
日本の建築
家電の昔
江戸の歴史
湯・茨城
湯・山口
安土桃山時代
湯・長崎
裁判所について
アリさんの一日
カラオケ・ばんばん
モデル生物として [編集]
一つは、扱いやすいウィルスとしての意味である。ファージが発見された頃は、ウィルスに関する研究が未熟で、そういった中で生きた細胞の中でしか生育しないことは分かっていた。しかし生き物の体で育てたのでは培養も経過観察も簡単ではない。また組織培養の技術も確定していなかった。そこに培養しやすい細菌の上で育つウィルスの発見は、研究を非常に扱いやすく、定量化しやすいものとした。それまでせいぜい組織を対象にしか扱えなかったものが細胞を単位で扱えるようになった意味も大きい。
ウィルスの増殖もファージの研究によって明らかとなり、自らは遺伝子しか持たず、宿主細胞の形質発現の機構を使って増殖する、と言うその性質もそこから明らかになった。また、生物学史の上からは、このウィルスにおいて遺伝物質がDNAであることを確定したハーシーとチェイスの実験が、遺伝子の本体がDNAであることを初めて証明したことでも重要である。
現代の利用 [編集]
テンペレートファージを利用して宿主の細菌に任意の遺伝子を導入する技術も開発された。この技術は形質導入と呼ばれ、ラムダファージによる大腸菌への形質導入が、分子生物学分野で繁用されている。
ファージは種類によって宿主とする細菌が異なり、しかもその選択性が高い。このため同じ種に属する細菌であっても、株によって特定のファージに感染するものとしないものがある。この現象を利用して同種の細菌をさらに細かく判別することが可能であり、この方法をファージ型別と呼ぶ。ファージ型別による分類は黄色ブドウ球菌やサルモネラに用いられており、これらの菌の中でも特に病原性の高いものであるかどうかを識別することが可能である。
またビルレントファージが宿主を溶菌によって殺す性質と、その宿主特異性の高さを利用して、細菌感染症に対する治療薬として応用する研究も行われている。現在、ロシア、ポーランドなど東ヨーロッパで本格的に実用化されていて、西ヨーロッパ、アメリカなどでは臨床実験中である。 また、薬剤耐性菌テロに対する治療薬としてロシアやアメリカなどでは研究が進められている。